みなさん、とべ動物園って聞いたことありますか?愛媛県にある動物園で、動物の種類が約200種類、約1,000頭も展示されている西日本でも規模の大きな動物園となっています。
そんなたくさんの動物たちが飼育されている動物園ですが、ここにピースというしろくまがいるのをご存知でしょうか。以前テレビでも取り上げられたことがあり、なんとなく知ってるかもという人もいると思います。
このピース、とても波乱万丈な人生を送っているようで、その頑張って生きている姿が人気の秘密みたいですね☆ピースのことをよく知れば、とっても応援したくなるし、一度会ってみたいと思うはず♪では早速ピースについてどんな人生を送っているのか、お伝えしたいと思います。
そもそもしろくまってなぜ白いの?どんな生態の生き物なの?
ピースのお話をする前に、少ししろくまについてどんな生き物かご紹介しますね。そこでみなさん、白い色のくまを見たとき「しろくま」って言いますか?「ほっきょくぐま」っていいますか?
結局のところ、しろくまもほっきょくぐまもどっちでも一緒で、白く見えるのも光の加減といったところでしょうか(汗)そんなしろくま、他のくまは雑食なのに対し、肉食性の強い生き物なんですって。確かに、あんなに寒い地域にいると、草とか生えてなさそうですもんね。
体長はオスで200~250cm、メスで180~200cmと大きく、体重はオスで400~600kg、メスで200~350kgもあるそうですよ。200kgといえば、20kgのお米10個分なので、大きい上にそうとう重い動物なんですね。
しろくまは地球温暖化の影響で個体も少なくなり、絶滅危惧種に指定されています。そんな中ピースはここの動物園で産まれ、日本で初めて人工哺育に成功したしろくまなんですよ☆しろくまって人が育てられるものなの?って驚いちゃいますよね。
しかも通常しろくまの人工哺育は難しいとされているなか、ピースは人工哺育の最長記録を更新しているんだそうですよ。ではここからはしろくまのピースについて調べたことをお伝えします♪
しろくまピースって、どんな子ども時代を送っていたの?
先ほどもお伝えしましたが、ピースは人工哺育によって育てられたしろくまなんです。え?人工哺育?じゃあピースの親はどうしたの?って気になりませんか。そこでピースの生い立ちについて順を追ってお伝えしていきたいと思います☆
しろくまピースの生い立ち、誕生してからはどうだったの?
まずはしろくまピースの両親について、ちょこっとご紹介します♪ピースのお父さんは「パール」。1985年ハンガリーで産まれ。1988年パールが3歳のときにとべ動物園へ来園しました。
一方ピースのお母さんは「バリーバ」。1990年デンマークの動物園で誕生し、その後スイスの動物園で育ち、1997年バリーバが7歳のときにパールのお嫁さんとしてとべ動物園へ来園しました。
お父さんとお母さんの年の差は5歳なんですね。ちょうど良い年の差かも♪しかもそれぞれハンガリーとデンマーク産まれということで、どちらもヨーロッパ地方の出身☆ヨーロッパと聞くとおしゃれなイメージがあるので、2匹ともおしゃれなしろくまだったのかもしれませんね。
そんな2匹の相性が良かったのか1999年12月2日、2匹の赤ちゃんが誕生します。それがメスのしろくまピース。私ピースという名前から、勝手にオスと思ってましたが、実はメスだったんですね。ピース、ごめんね。
あれ?今2匹産まれたって言ってたよね?じゃあもう1匹は?と気になるところですが、残念なことに飼育員さんが気づいたときには母親に咬まれてしまっており、応急処置を行ったようですが間に合わず天国へ行ってしまったそうです。
どうやらバリーバは初出産により混乱し、また気が荒くなってしまってたそうなので、その影響で咬まれたのかもしれませんね。
私たちの場合、出産となるとちゃんとした病院で先生に助けてもらいながら産めるけど、動物の世界は出産といっても1人で頑張らなくちゃいけなくて、いくら母性本能があるといってもやっぱり初めての経験だし、混乱もしちゃいそうですよね。
でもやっぱりバリーバは混乱したままだったのか、ピースの育児も放棄してしまいます。なのでこのままではピースも危険と判断した飼育員さんが、ピースを保育器に入れ育てることにしました。ここから人工哺育が始まったのです。
しろくまピースの生い立ち、どんな幼少期を送っていたの?
人工哺育の始まったピース、はじめのうちは飼育員さんの勤務時間内のみの保育だったようですが、飼育員さんはこれでは不十分と判断し、勤務が終わるとピースを自宅に連れて帰り24時間体制で育てることになりました。
通常しろくまは生後28ヶ月頃までは母親と一緒に行動しているそうなので、自然界と同じくピースも母親の愛情を与えてあげたい、という飼育員さんの思いもあったのかもしれませんね。
またしろくまの赤ちゃんは生まれたときは目も耳も閉じた状態になっているため、母親の事はにおいで判断するのでは?と推測し、ピースを育てる飼育員さんも1人だけにしたようですよ。そして本当の母親のように15分以上ピースと離れないように過ごしていたんですって。
しかもこの飼育員さん、女性かと思いきや男性というから驚きですよね。その飼育員さんには家族もいたようですが、みんなピースを育てることに理解しており協力していたんだそうです。
飼育員さんもすごいですが理解をしてくれる家族もすごいですよね。私だったらしろくまを育てるのなんて無理!って言ってしまいそう(汗)ですがやはり人間としろくまとでは違うようで、色々な問題に直面したようですね。では実際にどんな問題があったのでしょうか。
問題1、どのミルクが合うかわからない
私たちの場合、生まれたばかりの赤ちゃんってお母さんから母乳をもらったり、粉ミルクで作ったミルクをあげたりしますよね。
しろくまの場合も赤ちゃんのうちは母ぐまから母乳をもらいますが、バリーバが育児放棄をしたため直接もらうことができず、またしろくま用の粉ミルクなんてないので、初めは手探りの状態だったようです。
まず初めに与えたのが海獣用のミルク。でも合わなかったのか下痢になってしまいました。そこで次に犬用のミルクを低濃度で与え徐々に濃度を濃くしていったところ、ピースに合うミルクを作る事ができたそうです。しろくまだけど意外と犬用のミルクが体に合ったんですね。
また人工哺育では、ビタミンB不足による死亡例や鉄欠乏症貧血が問題となることも多かったそうなので、ビタミンBをミルクに混ぜたり、生後3ヵ月までは1ヶ月に1回、鉄剤の筋肉注射をしてたんですって。
普通の注射でも痛いのに、筋肉注射って普通の注射よりももっと痛いですよね。赤ちゃんなのに良く頑張ったと思います。えらいぞ、ピース♪
そんな飼育員さんの努力もありピースはスクスク成長していきます。…が、またまた問題に直面してしまいます。
問題2、急に起こるヒステリー
24時間体制で育てられているピース、昼間は動物園で過ごし、夜は飼育員さんと一緒に飼育員さんの家で育てられました。その中で突然、火がついたように泣き叫び、何時間と泣き続ける時があったんです。始めのうちはどうすれば良いのか飼育員さんも困り果てたようですね。
なんせしろくまなんて育てるの初めてだし、泣くからには何か原因があるんだろうけど、実際に何が起こってるのかわからない状況になっちゃいますよね。
そこでなぜそんなに泣くのか、ピースをよーく観察してみたんだそうです。そしたら、暑がっていたり、排便がうまくできてなかったりしてたようですね。なのでそれらを解消してやると、ヒステリーの問題も解決していったそうですよ。
これ良く考えれば私たち人間の赤ちゃんもそうですよね。生後間もない赤ちゃんはしゃべれない為、泣いて私たちに色々教えようとします。赤ちゃんは人間であっても動物であってもみんな一緒なんですね☆
問題3、温度調節をどうする?
しろくまって寒い地域に住んでいるからか、どうやら暑いところが苦手なようですね。始めのうちは保育器の中をペット用のヒーターで暖めていたそうですが、成長するにつれだんだんと暑がるようになり、気温の低いところを求めるようになったんだとか。
そのため最終的には、気温10℃以下になる屋外で育てられることになったそうですよ。そこで問題になるのが、飼育員さんの家。冬の寒い時期なんかは暖房入れて暖まりたくなりますよね。でも10℃以下にしないといけないとなると、どうすれば良いのか…。
なんと飼育員さん、冬でも暖房をつけず、ましてや窓を開けたまま生活していたんだそうです。なんか考えただけで背中がブルっとしますね。そんな飼育員さんの努力と愛情でピースはスクスク育っていきます。
しろくまピースの生い立ち、動物園デビューまではどうだったの?
子を持つ親として子どもはいつまでたっても子どもで、できるだけ長く一緒にいたいと思いますよね。でも子どもはいつかは自立するもの。その時親は子どもの背中を押してあげなきゃですよね。
ピースも生後100日を過ぎた頃には体重も15kgを超え、自宅での飼育が困難になってきたため、夜も動物園の獣舎で過ごすことになりました。いくら体格が大きいとはいえまだまだピースも子ども、最初のうちはその環境の変化に慣れず、ずっと泣いていたようです。
これには飼育員さんも相当辛かったと思います。飼育員さんとしてはまだまだピースと一緒にいたかったようですね。自然界のしろくまだと2歳頃まで母親と一緒にいるのだから、それぐらいまで一緒にいてあげたいと思っていたのかもしれません。
ですがこれからどんどんピースの体格も大きくなり、無邪気に遊んだつもりが飼育員さんを傷つけてしまったら、飼育員さんを襲ったしろくまとして、ピースが悪者になってしまう、と周りから説得されて、ようやくピースと離れる決断をしたそうですよ。
それから飼育員さんとピースが別々に生活するようになり、ついにピースが動物園デビューします。2000年3月15日のことでした。
しろくまピースの生い立ち、動物園デビューで一躍人気者に!
引用先:愛媛県立とべ動物園公式HP
この丸々とした体に短い手足、真っ白なフワフワの毛にクリクリの瞳、その姿はまるでぬいぐるみのようでとってもかわいい~☆
歩くときなんか、一生懸命短い足をピョコピョコ動かして、もうたまりませんね♪思わず抱きしめたくなっちゃう。このかわいさにみんなはメロメロ。一躍動物園の人気者になったんです。
その後飼育員さんと一緒に水泳の練習をしたり、ちょっと血便が出たりと体調を崩したときもありましたが、元気にスクスク育っていきました。
そんなスクスク育っていく中で、ある出来事が起こってしまいます。
しろくまピースのピンチ、一体何が起こったの?
しろくまピースが動物園の人気者になってからというもの、ピースをお母さんと一緒に同居させてあげようと、お母さんのバリーバと対面させることにしました。
でもバリーバ、ピースを威嚇してしまい、ピースは逃げ出してしまったそうです。やっぱり産まれてすぐ人工哺育になったので、バリーバとしては自分の子どもと認識できなかったのかもしれませんね。
それでもいつかは同居できるだろう、と諦めずに対面させていました。やっぱり親子は一緒に過ごしたほうが良い、と思っちゃいますよね。
でもこれがピースにとってはストレスになっていたようです。
しろくまピースのピンチ、てんかん発症!?
少しでも親子仲良くなってもらおうとピースとバリーバを対面させていたのですが、飼育員さんの思いとは裏腹にピースは苦痛に感じていたようですね。その結果ピースのストレスがピークに達し、てんかんの発作を起こすようになってしまいました。2003年4月、ピース3歳のときでした。
ピースからすればやっぱりお母さんは飼育員さんであり、バリーバは知らないしろくま、という認識だったのかもしれませんね。ましてや、威嚇されちゃったら誰でもいやになっちゃいますよね。
それからは無理にお母さんと一緒に過ごすことはせず、今も別々の場所で生活しているそうです。てんかんを発症してからというもの、脳の興奮と体のけいれんを抑える薬が手放せなくなり、毎日えさに混ぜて与えているそうですよ。
薬をえさに混ぜて与えたことにより、その後特に問題もなくスクスク成長していきました。…が、またまた事件が起こってしまいました。
しろくまピースのピンチ、再びてんかん発症!?
薬をえさに混ぜて与え、しばらくは順調に成長していったピース。ところがまたてんかんを発症してしまいました。
それはピースがプールで泳いでたときのこと。普通に泳いでたはずのピースが、プールの中で突然てんかんを発症してしまったのです。プールの中で発症すると最悪おぼれてしまうのでとっても危険!
そこへ異変に気づいた飼育員さんがピースの元に急いで行き、プールに飛び込んで頭を持ち上げたことにより、ピースは一命を取り留めました。まさに九死に一生を得た感じですね。
しかもたまたまそこに飼育員さんが通りかかったため、異変に気づけたんですって。もし通りかからなかったらと思うと…とっても怖いですよね。
実はこの飼育員さん、数日前にピースがおぼれた夢を見たそうで、その時はどうするかっていうシュミレーションもできていたので迅速に助けることができたんだとか。そんな偶然ってあるんですね。飼育員さんとピースはとっても深いところで繋がってるのかもしれませんね♪
それからというもの、何かあったときのためにと獣舎内に4台の監視カメラを設置することにしたんだとか。カメラが4台もあれば、何かあってもすぐ駆けつけれるので、安心ですね☆
しろくまピースの現在は?元気で過ごしているの?
てんかんという持病を持ちながら生きているピース、飼育員さんの懸命な努力とたっぷりの愛情のおかげで、その後特に大きな発作も起こることなく、現在もピースは元気にとべ動物園で生活しています。
その懸命に生きる姿がテレビで取り上げられ、以前にもましてピースは大人気に。今も尚ピースのファンは多く、毎年ピースの誕生日には500人ほどの人が集まり、お祝いをしてくれるそうですよ♪しろくまの平均寿命は25歳ということなので、このまま何事もなく天命を全うしてほしいものですね。
しろくまピース、どこに行けば会える?
引用先:愛媛県立とべ動物園公式HP
今までピースの生い立ちについてお伝えしてきましたが、これからも病気に負けずにぜひ頑張って生きていって欲しいですよね。ピースのことについて、知れば知るほどピースに会いたーい!
そこでピースがどこで生活しているのか、調べてみました。ピースはベアストリートにある、くま舎で生活しています。上の地図で言うと、一番下のしろくまの絵がかかれた場所です。正面ゲートが下の左のほうにあるので、そのまま道に沿って行けばピースと会うことができますよ☆
ただし、日によってはピースの体調があまり良くないときもあるそうです。そのため屋外と屋内を行き来できるよう扉を開けているため、日によっては見えにくい場合もあるとのこと。また薬の影響で眠くなることもあるようで、動かずにずっと寝ているときもあるそうです。
そんなときは、そっと見守ってあげましょう。間違ってもピースが寝てるときに急に大きな声を出して起こそうとしたり、カメラ撮影のときフラッシュをたかないように注意してください。
やはりピースにとって、ストレスが一番の敵なのでストレスをかけないよう、静かに見守ってあげましょうね。
まとめ
- ピースは母ぐまの育児放棄により人に育てられた
- ピースは初めて人工哺育に成功したしろくまで、人工哺育期間は過去最高
- 母ぐまとの対面で強度のストレスによりてんかんを発症
- 現在も薬の入ったえさを食べながら元気に過ごしている
- ピースを見るときストレスを与えるような行動は絶対にだめ!静かに見守りましょう
ピースは今もてんかんといういつ発作が起こるかわからない病気と闘いながら、懸命に生きています。その頑張っている姿を見ればきっと応援したくなるし、自分も勇気をもらえるはず。ぜひ一度、ピースに会いに行ってはいかがでしょうか。