東京の上野動物園といったら緑が広がり一瞬…あれ東京?と感じさせるような人々を癒す雰囲気があり、パッと思い浮かべるのがジャイアントパンダ。上野動物園は国内で最も古い動物園として、子どもから大人まで楽しめる人気の動物園ですよね。
そんな上野動物園の近くにあった遊園地を知っていますか。小さな子供向けの遊園地なのに、大人もどこか懐かしい思い出にひたることが出来て楽しめたのが上野子ども遊園地でした。しかし2016年8月で閉園となりました。
今回は、上野動物園の近くにあった遊園地『上野子ども遊園地』の歴史を見ていこうと思います。
上野動物園の遊園地『上野子ども遊園地』とは?
上野と言えば、上野動物園。そしてジャイアントパンダですよね。もふもふしていてのんびりマイペースに笹の葉を食べている姿は、何度見ても癒されますよね。なんならずっと見ていても飽きません(笑)
そして、その近くにあったのが上野子ども遊園地です。遊園地は1946年(昭和21年)に営業が開始され、2016年8月31日をもって閉園しました。
その歴史は…なんと70年!昭和から平成と長い間、動物園と共に多くの人でにぎわっていたんですね。
では改めて上野動物園の「上野子ども遊園地」の場所を確認しておきましょう。
上野動物園のこども遊園地の場所
上野子ども遊園地は、上野動物園の正面入り口のすぐそばにありました。
<上野子ども動物園> ※当時の情報 【住所】東京都台東区上野公園8-83 |
動物園と遊園地が近くにあったので、朝から晩まで家族で楽しむことができました。しかも入園料が無料とあって、乗りたいモノを好きなだけ楽しむことが出来たんですね。
では上野子ども遊園地はなぜ閉園になってしまったのでしょうか。どんな歴史があったのでしょう。詳しく調べてみました。
上野動物園の遊園地の歴史を知ろう
上野子ども遊園地跡地
なんの変哲も無い広場(出入り自由、住宅街にある遊具もトイレも何もない公園みたいな)
こんなんするなら、遊園地続けさせてくれればよかったのに…と強く思う pic.twitter.com/N9m4ZRv0bl— つちぶ大佐 (@kaneyoen_16) March 9, 2019
上野子ども遊園地は、70年の幕を閉じて今ではキレイに整備されました。今まで遊園地があった…という面影はありません。
当時の遊園地はどうだったのでしょうか。少し見ていこうと思います。
当時の上野子ども遊園地は?
閉店した上野子ども遊園地、まだ照明が点いていた。 pic.twitter.com/m47s377AV3
— Masayo (@Masayo_I) October 12, 2016
上野子ども遊園地はレトロな感じで、子どもがメインに楽しめる乗り物が数多くありました。
またアトラクションだけではなくお土産や食べ物屋さんなどもあり、動物園よりはこじんまりと感じられる中で子どもたちのたくさんの笑い声が響き渡っていました。
遊園地とあって、上野動物園のついで…ではなくて、遊園地にまっしぐらに向かう子どもも多かったことでしょう。
子どもたちに人気のアニメのキャラクターの乗り物もありました。子どもたちは、はやる気持ちを抑えながら順番を守ってみんなで楽しんでいた様子が思い出されることでしょう。
70年の歴史がある上野子ども遊園地。おじいちゃん、おばあちゃんの子どもの頃から、長きにわたって2016年まで多くの子どもたちが訪れにぎわっていた遊園地なんです。
上野子ども遊園地は、身近な場所だった
「あの頃の夏の日のように」
日本で残り二つの屋上遊園地のひとつ、丸広百貨店川越店のわんぱくランド。
2019年9月1日を最後に51年の歴史に幕を閉じます。
小さい頃によく行っていた思い入れの場所。訪れたこの日は梅雨とは思えない夏空でした。#川越 #川越市 #埼玉県 pic.twitter.com/uGISpcXGK8
— Yuji Shibasaki@Photo (@Yuji_48) June 17, 2019
最近では、見かけなくなったデパートの屋上に設置された遊園地。上野子ども遊園地も、まるで屋上の遊園地のように身近な場所でした。
ちょっと寄って子どもも楽しめる、そんな場所だったのではないでしょうか。乗り物も100円券を使って乗ったり、小さな乗り物は現金を直接入れて乗ることが出来ました。
入場料も無料で、乗り物も100~200円前後でお手軽。子育て世代にとっては、とにかく財布に優しい場所でもあったと感じます。
そんな大人にとっても、子どもにとっても大切な場所は今では少なくなり…消えつつあるのが現状です。
上野子ども遊園地のアトラクションの1つには感動のストーリーが…
萌と上野子ども遊園地でディズニーのダンボみたいな乗り物乗った笑笑 pic.twitter.com/BNSDlLXgFP
— みやもと (@10Natsu06) April 10, 2015
遊園地のレトロなアトラクションの中にぞうさんのアトラクションがありました。これは当時大人気だった上野動物園の「インディラ」という象が亡くなった時に作られたそうなんです。
よく見かけるアトラクションの1つかもしれませんが、上野動物園の遊園地にとってはとっても感動するストーリーがあるんです。
インディラが亡くなったのは、1983年。その後、遊園地にぞうさんのアトラクションが出来たというわけなんですが、このインディラにはある感動的なエピソードがありました。
なんとインディラは1967年(昭和42年)、当時同居中だった別のぞうさん「ジャンボ」とけんかをして脱走したんです。その後、脱走したインディラは小屋にどうしても戻りませんでした。
そこでずっとインディラの飼育員をしていた落合正吾さんが呼ばれました。実は落合さんはその時、重い病気になってしまい動くことすら大変な状態の中だったそうです。しかし落合さんがインディラを呼ぶと…
ゾウ舎に着いた落合さんは、病人とは思えない声で「インディラ、ダメじゃないか。戻るんだ。」と一喝。とたんにインディラの興奮がおさまって目がおだやかになりました。「よし、良い子だ。さあ、帰るぞ。」落合さん到着がら10分もしないうちに、インディラは無事に収容されたのです。 pic.twitter.com/YLbqvIsPs8
— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) March 14, 2017
この騒動の8日後に落合さんはこの世を去りました。亡くなる最後の最後まで、インディラを気にかけていたそうです。もしかしたらインディラは最後に落合さんに会いたくてそんなワガママな行動をとったのかもしれませんね。
そんな感動の出来事があったことから、遊園地でもぞうさんのアトラクションを設置したんです。
上野動物園と上野子ども遊園地も子どもを大切に思う気持ちは、落合さんがインディラを思うにようにあり、その思いを別のカタチで残していったんですね。
しかしそんな人気の遊園地はなぜ、閉園になってしまったのでしょうか。閉園の理由についても見てきましょう。
上野動物園の遊園地の閉園で広がる悲しみの声…
上野子ども遊園地がいつの間にか閉園してた。いつか子どもができたら来ようと思っていたのに残念…#上野子ども遊園地 pic.twitter.com/Wp9dTEj1UR
— 冬里かぴ子 (@fuyukapi) October 16, 2016
上野子ども遊園地の入り口に設置された看板にはこのような内容が書いてありました。
閉園のお知らせ
70年間 ありがとうございました。
上野子ども遊園地は、終戦の翌年から70年間にわたりたくさんのお客様・お子様の笑顔にあふれることができました。
この度、地主である東京都から「動物園の魅力をたかめることを目的とした正門広場の整備工事」の支障となると許可を取り消されましたので、やむを得ず 8月31日(水)をもちまして廃業いたしました。
70年間という永きにわたり営業を続けることができましたのも、ひとえに皆様方のご愛顧とスタッフ一同、心より感謝申し上げます。
上野子ども遊園地
看板には、これまで営業をしてきて来客されたお客さんたちに対しての感謝の言葉がつづられていました。
閉園を知ったお客さんは、とてもショックを受けたことでしょう。口コミでもたくさんの声が寄せられていました。
< 口コミ >
- 上野子ども遊園地跡地…こんなんするなら、遊園地を続けてほしかった。
- 上野子ども遊園地の廃業に怒りがおさまらない。
- 子どもの私の楽しみを取り上げられてしまった…心が痛い。
- 寂しすぎる…。昭和がまた一つなくなった。
- レトロなあの空間が好きだった。凄く残念
- 楽しかった、美しい思い出を奪われた…ショックすぎ。
- 私も子どもの頃遊んだ。孫と遊びたかった…
上野動物園の遊園地の閉園の理由とは?
上野恩賜公園再生基本計画https://t.co/bQ5fDxVsM2
平成21年という五輪誘致前から計画されてた上野公園の工事。
オリンピックが決まったから便乗してやっちゃお、なのだろうが、オリンピックだからやるわけじゃない。 pic.twitter.com/QOEUHBtJEV— いー(2000mm)ーし (@mk_ishi) December 16, 2016
愛されていた上野子ども遊園地の廃業には「正門広場の整備工事」によってその姿を消すことになりました。
もっと動物園の魅力をたかめるための工事なんですが、これまで訪れたきた来場者たちにとっては『もともと魅力的な場所』『無くす必要なんてない』との声が多く寄せられました。
しかし2009年に立案された「上野恩賜(おんし)公園再生基本計画」により、上野公園がリニューアルされるということになったのです。
この公園の再生計画では、さらに魅力あふれる場所へと変えようとしていました。
- 日本の顔としてふさわしい文化・芸術があふれている。
- 美しいみどりと水の景観が成形されている。
- 国内外の多くの人々が集い、にぎわっている。
上野らしい文化・芸術、歴史、みどりと水を体感できる、魅力あふれる「文化の森」として再生
引用先:東京都建設局
この再生基本計画の終了は、2019年。このことから、当時は2020年の東京オリンピックへ向けて東京を海外に猛アピールしたかったのではないかとささやかれました。
2020年の上野恩賜公園は?
歴史的建造物を保存するのは分かる。しかし、街の中の二度と戻らない風景も保存して欲しい。2年前に70年存続した「上野子ども遊園地」を閉鎖。数ある売店の中で唯一残った「東照宮第一売店」を残して。もうモールの店とか飽き飽きだ。#残せ風景 pic.twitter.com/wzuJH5GX29
— はな (@ny_1114sw) February 11, 2020
整備が終わり、以前のブルーシートやコンビニで売っているワンカップが転がっているような公園からは一転。
おしゃれなカフェもでき、子連れのファミリーからカップルやおじいさんおばあさんまで、誰もがゆったりとした時間を過ごせる公園になりました。
場所によっては整備の範囲に入っていない場所もあり、今でも当時の雰囲気を味わうことの出来る場所もあります。
でもこれから新しくなった上野公園で、また素敵な思い出がお子さんや家族でつくれたらいいですよね。
まとめ
- 上動物園の近くにあった遊園地は「上野子ども遊園地」です。
- 1946年から営業を開始し、2016年8月で閉園。70年間という歴史に幕を下ろしました。
- 閉園の理由としては、上野恩賜公園再生計画というキレイに整備し、新たな場所へと生まれ変わるということでした。
- 上野子ども遊園地の閉園は多くの来場者から悲しみの声が上がりました。
上野動物園のすぐそばにあった上野子ども遊園地。レトロな雰囲気がありこじんまりとしていて…たくさんの人に愛されていた分なくなってしまったのは本当に残念です。
でもこれまで遊園地を利用してきたお客さんにとっては、思い出の場所としてこれからも心の中に生き続けていくことでしょう。